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相続

遺産分割事件。

相続とはどういうものですか。

相続とは、被相続人が死亡時に有していた財産、負債を包括的に相続人が承継する制度です。財産のみならず、負債も引き継ぐことになります。

遺言がある場合にはどのように相続が行われますか。

遺言に基づいて権利が移転することになります。法定相続分の定めより、遺言が優先します。遺言で特定の相続人に財産の全てを相続させることもできます。但し、一部の相続人には、遺留分という権利(法定相続分の2分の1相当)が認められています。遺留分を有する相続人が、法定相続分の2分の1に満たない財産しか取得できなかった場合、遺言で財産を取得した人に対して、遺留分が侵害された限度で、遺留分減殺請求というものをすることができるのです。この遺留分減殺請求には行使期間があり、遺留分を侵害されたことを知ってから1年間か、相続人が死亡してから10年のいずれか短い期間内に、遺留分減殺の意思表示をする必要があります。

遺言にはどのようなものがありますか。

自筆証書遺言、公正証書遺言などがあります。自筆証書遺言には厳格な様式があり、要件を満たさず無効となる場合もあり得ます。従って、費用はかかりますが、公証人が作成してくれる公正証書遺言によることをお勧めします。遺言は自由に取り消すことができます。新しい遺言が優先されますので、気が変われば遺言を書き換えれば良いのです。

誰が相続人になりますか。

厳密には細かいルールがありますので、以下は大雑把な説明としてご理解ください。第1順位:子、第2順位:親、第3順位:兄弟の順で相続人になります(自分より順位が上の相続人がいる場合には、相続人にはなれません)(民法887条、889条)。上記の順位とは別に、配偶者は必ず相続人になります。よって、子と妻がある場合には、子と妻が相続人になります。妻がいるも子供がなく、親が存命中という場合は、妻と親が相続人です。妻がいるも、子も親、祖父母などもいないという場合は、妻と兄弟が相続人となります。孫やおい、めいが相続人になる場合もあり、相続人に誰がなるかは複雑ですので、弁護士に確認することをお勧めします。

遺産分割(相続)はどのような手続きで行われますか。

相続人の間での話し合いがまずは第一です。相続人の間全員で合意が成立するのであれば、法定相続分と異なる割合で遺産分割をしても構いません。相続人の間で合意が成立しない場合は、裁判所で行う話し合い(遺産分割調停)を行います(調停前置主義)。遺産分割調停は、あくまでも裁判所が間に入る話し合いで、調停でも合意に至らなければ、遺産分割審判に移行します。

被相続人の生前中、色々なお世話をしたことは相続で考慮されますか。

被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持などに特別の寄与があったと認められる場合、それらを一定考慮する制度として寄与分という制度があります(民法904条の2)。相続人間で寄与分の額について合意が成立しない場合には、申し立てにより裁判所が寄与分を定めます。

相続人の中で、被相続人の生前中に贈与を受けたものがあるとき、それは相続の中でどう考慮されますか。

生前に受けた贈与や遺贈については、特別受益という制度により調整がなされます(民法903条)。

被相続人に財産がない一方で、巨額の負債がある場合、どのようになりますか。

負債を相続することを避ける制度として、相続放棄という制度があります(民法939条)。相続放棄は家庭裁判所に対する申述によってなされます(民法938条)。相続人間で自分は相続しないからということを単に述べるのとは違います。家庭裁判所で手続きを取る必要があることに注意が必要です。また、相続放棄には、自己のために相続があったことを知った時から(死亡時からではありません)3か月という期間制限があります(民法915条)。「自己のために相続があったことを知った」ということがいつのことを指すかは、専門知識に基づく法的判断事項ですので、3か月の期間内かを確認するため、弁護士に相談することをお勧めします。

自筆の遺言書が見つかりましたが、どのようにしたら良いでしょうか。

検認の申し立て(民法1004条参照)を家庭裁判所にする必要があります。申し立てをすると、裁判所に出廷する日が定められ、裁判所で遺言書に記載されている事項の確認などがなされます。封印がされている場合には、家庭裁判所で開封するようにしなければなりません。
ご注意
ここに記載した内容は、簡単に一般論をお伝えしているものです。
具体的な紛争・事例には当てはまらない場合もございます。

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